「幸せプロジェクト」リキッド社会におけるコミュニティ

2025年4月、いよいよ、私たちが叶えたかった事業のひとつである、地域住民へのパーソナル健康支援事業が、自治体との官民連携により実施することが決定しました。もちろん当社にとって初となる、自治体との大きなプロジェクトのはじまりとなります。

当プロジェクトのミッションは、主に「閉じこもり高齢者(健康状態不明者など)」に対する専門人材の関わりによる運動支援と健康相談サポートです。高齢者に限ったことではありませんが、少子化や非婚化を背景に2040年には独身世帯が5割になるとの推計もあるなか、当プロジェクトでは特に一人暮らし高齢者にスポットをあて、その方たちの健康状態の把握と筋骨格運動の改善を入口としながら、地域コミュニティとの関わり方やコミュニティの創作などを一緒に模索し、心身ともに健全で幸福と思える人生を歩んでいただくためのサポートをさせていただくことが到達目標です。

人間のコミュニティのあり方については、私自身、創業以前から関心を持ち学びを深めてきた分野のひとつでもあります。きっかけは、自身の実体験としての生活の場や職場コミュニティにおける違和感や居心地の悪さ、仕事で関わってきた数多くの住民の暮らしの背景にある人間関係を起因とした暮らしにくさと健康の相関関係などを目の当たりにしてきたことが、この分野に関心をもち当プロジェクトを始めるきっかけとなりました。

人口減少時代におけるコミュニティのあり方について研究している、独身研究家の荒川和久氏は著書「「居場所がない人たち」超ソロ社会における幸福のコミュニティ論」で、コミュニティの変化やあり方について次のように述べています。

「社会学者のジグムント・バウマンは、人間のコミュニティの形を、かつての安定した社会をソリット社会と称し、現代社会をリキッド社会と表現しています。ソリット社会では、個々人が、地域や職場や家族という強く固いコミュニティの中に、ひとつの構成要素として組み込まれ互いに結びついて結晶体のような強さによって安心を得ていました。しかし、リキッド社会では、それまで結晶だったものが、何かの作用で液体化してしまうことはある。コミュニティにおいては内側を守ってくれていた強固な外壁や城壁が失われると個人は結晶から液体へと変わる。それがリキッド社会である…。」

要約すると、強固に守られていたものの行動も一定の枠内という制限のあった代表的な3つのコミュニティである地域、職場、家族という「所属するコミュニティ(居場所)」は崩壊又は変化しつつあり、これからは今自分自身に必要なコミュニティに必要な時間・期間だけ柔軟に接続するコミュニティを組み替えていく「接続コミュニティ」という「出場所」としての刺激が、新しい自分の芽を発見していくきっかけになっていくという考え方です。

ふと冷静に社会のあり様に目を向けてみると、自分自身の意識変化とは無関係に世間や社会というものは確実にしかも速いスピードで変わってきています。しかし、当然のことながらその変化に誰もが追従し適応できているわけではありません。特に高齢期に入ると意欲や行動は減退傾向に入り、知らず知らずのうちに、いつの間にか孤立していたということも少なくありません。意識的な孤立孤独は健全なものでありますが、なかなかそれを意識的に実行できている人は少数派ではないでしょうか。

私たちのサービスは、そのような一人ひとりの暮らしに少しだけ関わらさせていただき、今日以上に明日からの暮らしが生きやすさやにつながるよう、運動と学びを入り口として、多くの方々に幸福と思える人生を歩んでいただくためのサポートさせていただきます。

そして、私たちは5年ほど前から、このプロジェクトをいつか実現させることを夢見て「幸せプロジェクト」と呼称してきました。

コメント

この記事へのコメントはありません。

関連記事